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プレジデント×少年セフィロス

相思相愛ではないですが、プレジデントはセフィロスを溺愛している体で。

少々切ない終わり方をします。

 

【ご注意ください】

・わざわざ書くことでは無いかもしれませんが……このお話はフィクションです。

 実際に18歳未満の青少年に淫らな行為をすることは犯罪です。

 

上記につきまして、ご了承いただける方は、本文をお楽しみください。

朽ちることなき美しさ

 

「ひっ……ああ!」

「セフィロス、お前は本当に、どこも綺麗だな……」

 太りぎみの中年の男の体の下に、白く華奢な体が組み敷かれていた。

「んっ……あぁ……」

「ほら、ここが良いんだろう?」

「ああ!」

 ゆさゆさと揺すぶられる少年の、まだ未熟な中心は濡れそぼって硬く勃ちあがり、後ろの蕾は、蹂躙する男の欲望を健気に根元まで含んでいた。しかし、少年は決して苦しめられてはいなかった。むしろその体は抗うことのできない甘美な快楽を貪り、もっともっととねだっていた。

「いいのか? ん?」

 はぁはぁと生ぬるい息を吐きながら、下卑たことを訊く男に、それでも少年はうっとりと快楽に酔いながら返す。

「いい……あぁ、もっと、ほしい……」

 その答えに気を良くした男は、さらに少年を攻め立てようと弱い部分をずんと突き上げた。途端に、切羽詰まったような、かすれた悲鳴が少年の口から飛び出す。もう限界が近い。

「セフィロス、もう達くか?」

「ああ! いく、いくぅっ……!」

 男は少年が達するタイミングに合わせて、彼のまだ成熟しきらない性器をしごいてやる。放物線の頂点で放出を許された体は、少しの間余韻に震え、やがて小さく息を吐いて弛緩した。ぎゅっと閉じられていた瞼がひらく。涙がぶら下がる長い睫毛の間から、翠の燐光が閃いた。

「プレジデント、あなたはまだだ」

「ああ、では付き合ってもらおうかな」

 少年の体を抱き直し、再び腰をゆるゆると動かしはじめる。白魚のような細い指が背中に回り、甘えるようにつうっと撫でた。相手に負担をかけないよう気を使いながら、男は自らの頂点を目指す。

 男は、少年を溺愛していた。溺愛、と一言で言うものの、その中には様々なものが含まれている。美しいものを愛でる気持ち、子供を可愛がる親のような気持ち、強い者への畏怖、「親」の存在を知らない可哀想な子供への憐憫、そして劣情。他にも、きっと言葉では言い表せないこまごまとしたものが含まれているだろう。

 男は、決して少年を傷つけることはしなかった。その体も心も、巨大な組織の中で守ろうと決めていた。例えそれが飼い殺すことであっても。そしてまたこの組織も、彼によって守られていた。

 少年でありながら過酷な戦闘を強いられていることを辛いかと尋ねたことがあった。しかし、少年は答えた。別に辛くはない、自分はおそらく選ばれた者なのだ、その使命を果たすことこそが自らの喜びであり存在意義なのだと、そう答えた。

 男はその言葉に戦慄した。なんという覚悟、なんという気高さ、なんという、哀しさ。

 少年は知っていた。自らに課された役割がどんなものであるのか。しかし、その本当の意味は知らないのだ。その力が何なのか、彼はきっと知らないままに生を終えるのだと男は思った。その方が良い。知ったところで、何も状況は変わらないのだから。それならばいっそ偽りの意義を真実だと思い込んでいた方が幸せだ。

 その澄み切った瞳と、少年らしい潔癖な横顔を見て、男は美しいと思いながら、同時にその危うさに恐れを抱いた。もし、彼の正義が覆ることがあれば、どんなに恐ろしい憎悪を抱くのだろうか。

「ああう……! ん、はん……」

「はっ、セフィロス! セフィロス!」

 気高くあればあるほど、絶望の谷は深くなるだろう。その力がこちら側に向いた時、恐らくこの組織は跡形もなく吹き飛ぶのだろう。

 男は、少年の体をきつく抱きしめ、その体の最奥に欲望を放った。少年もまた同時に極め、寝室を二人分の荒い息が支配する。

「セフィ……。今日もありがとう」

「プレジデント、いつでもお相手をさせて頂くので、また声をかけてほしい」

 少年は男の胸に顔をよせ、抱きついて甘える。男は白い体をそっと抱きしめてあやした。

「風呂に入ろう。おいで」

 少年は嬉しそうに男の首に腕を回し、抱き上げられて浴室に運ばれた。

 男と付き合っている、という意識は少年にはない。自らを大切にする者に求められるがままに振舞っている。男もまた、彼を恋人だとは思っていなかった。その関係には名前がつけられない。愛人、とも違うし、囲っている、というつもりもない。愛しくてたまらないのだが、恋とは呼べなかった。

 この関係にも、少年への愛情にも、名前がつけられなかった。少年は美しかった。恐ろしいまでに、ただただ、美しかった。

 

 

 神羅の英雄が魔晄炉に転落して死亡した。

 それを聞いた時、男はすぐにはその意味を理解できなかった。言葉が頭を三回ほど巡り、さらに二度ほど口に出して呟き、ようやく事の重大さと異常さを悟った。ありえない。まさか! 英雄が、セフィロスが、死んだ。魔晄炉に落ちて。ありえない。

 では、彼は知ったのだ。

 男は静かに悟り、天井を仰いだ。まっすぐ立っているはずなのに、足元がグラグラと揺れる。頭のなかにはわんわんと雑音が行き来し、口がカラカラに乾いた。

「……彼は逝ったのだ」

 ようやく出た声はひどく掠れていた。

「は?」

 相手には聞こえなかったようだった。

 彼は、向こう側へと逝ったのだ。無敵の力の真実を知り、怒りに身を焦がし、こちら側から向こう側へと行ってしまった。

 葉巻を取り出し、火をつけた。

 あの、気高く哀しい少年はもういない。潔癖だったその分だけの昏い闇を纏って、青年は現れるのだろう。憎悪の炎を揺らめかせ、私への復讐を果たしに来るのだろう。

 ああ、でも。

 きっとその美しさだけは変わらないだろう。冷たく、恐ろしい絶望の使者となっても、きっとあの美しさだけは変わらない。

 そして、やがて自分を探しにやってくるはずだ。それは、今日か、明日か、明後日か。

 絶望がやってくる。

 男は静かに息を吐いた。

 

​Fin

20151124

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