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2017/7/2 TM6 アデレイ無配

[The thing seen here is a secret with me and you...]
新刊の後日談的なあれ

表紙を気に入ってるから画像データでアップしたけど
やっぱり読みにくいのでテキストデータ上げておきます

「ねえ、今夜は初夜だね」
 男が優しく囁き覆い被さってくる。レイヴスは纏っていた衣服を脱がされ、全裸で男に組み敷かれていた。男の方は上着を脱いだだけで、まだ衣服をきっちりと着込んでいる。
神凪は組み敷かれたままの体勢で、男を見上げながら返す。
「今更だな。全くどこが初めてなんだか」
 相変わらずその眉間には皺が寄ってしまっていて、男はこのまま皺が寄ったままになりやしないかと心配している。
「うーん、じゃあ初めてのプレイしてみる?」
「いらん」
「式の後のセックスって感動するよねぇ」
「いや。俺は寝たいのだが」
「まぁそう言わず、付き合ってよ」
「……仕方がないな」
 神凪、レイヴスはやれやれといった様子で男、アーデンの首に右腕を回した。アーデンには分かっていた。素直になれない彼も、内心では少し期待しているという事を。
 レイヴスとアーデンはこの日、帝都グラレアで挙式した。
 妻の立場を与えられたレイヴスには、ヴァージンロードをエスコートしてくれる父親がいない。ならば母に頼もうかと思っていたところにこの男がしゃしゃり出た。
『大丈夫、俺がしてあげるからさ』
 それはおかしいだろう。俺が妻の役をさせられるならば貴様が夫なのだから、待っていなければいけないだろうが。
 呆れて言ったレイヴスの言葉をアーデンは取り合わなかった。
『良いじゃんそんな形式ばらなくて。臨機応変に行こうよ』
 一度言い出したら聞かない男のことだ、自分が何を言っても無駄だと思ったので、レイヴスはため息をついて諦めた。
「今日の君、本当に綺麗だったよ」
「ありがとう」
「あ、全っ然真に受けてないね、棒読みしないでよ」
「分かっているならそういう事を言うな」
「君は本当に美人だねぇ」
「……もう退け」
 レイヴスは覆い被さる男の胸を押し返し、今夜の行為を打ち切ろうとした。
「ああごめんって。待たせちゃったね……?」
「ンッ……!」
 不意打ちで乳首を吸い上げられ、レイヴスの体がぴくんと震える。ちゅっちゅっときつめに吸い上げられる愛撫にめっぽう弱く腰をくねらせて悶える。
 そんな彼の様子を見ながらアーデンはほくそ笑んだ。先程、彼に初めてのプレイを提案したのは何も戯れなどでは無い。更に言えばそれは提案ですらなかった。
 男にとってそれは、今夜決行すべき決定事項だった。
 右の乳首を吸ってやった後は左の乳首へ。乳首の先をそっと噛んでやれば、彼は甘い啼き声を漏らし逃れようと緩くもがく。しかしそれを許しはしない。シーツを蹴ってずり上がろうとする脚をこちらの脚を絡めて押さえつけ、右手をシーツと彼の背中の間に滑り込ませて、体を離す動きを阻む。
 レイヴスは快楽に蕩けてこちらの様子をあまり良く分かっていない。
「良い子だねレイヴス。そのまま良い子でね」
 ちゅっと音を立て今度は額にキスを落として、彼を押さえつけたまま腕だけを伸ばしてベッド横のチェストを開ける。彼に何をしているかバレると困るので、手探りで目的の物を探り出すとそれを掴み出した。
「……アーデン?」
「ん? 大丈夫大丈夫」
 訝しむように、うっとりと閉じていた瞼を開けてこちらを見上げてくるオッドアイズ。アーデンはにっこりと微笑んでやる。すると彼は、素直に再び目を閉じた。
 可愛いものだ。この子は自分の体温に包まれると、それまでのそっけない態度が嘘だったかのようにとても素直になってしまう。それはΩとしての本能もあるだろうが、それ以上に彼がアーデンに心を許しているからに他ならない。
 だから自分はそれを逆手に取り、こうして時折彼をひどく可愛がってしまう。今夜も彼は泣くだろう。でもそれは苦痛からの涙ではない。過ぎる快楽に夜通し啼かされる甘い涙だ。
 アーデンは体を起こすと右手の指をローションで濡らし、脚を開かせたレイヴスの蕾を撫でた。
「ふあ……っ」
「大丈夫だよ、ゆっくり、ね」
 つぷん、と薄紅のそこを割り開き、指を内部に挿入する。レイヴスは排泄器官を逆走してくる感触に背を震わせながらも、懸命に体の力を抜いている。
「ん……、ア……、ひぅ……」
「ここかな? 気持ちいいとこ」
「ひぁぁ……!」
 腹側にあるくるみ大のしこり。くりっとそこを押してやるとレイヴスの体が面白いくらいに跳ねる。前立腺責めはさぞかし効くらしい。
「あ――ッ! 嫌だ! やぁぁ! ひぃッ……!」
 人差し指と中指で揉み解すように苛めてやると、抱き込んだ体が必死の様相でもがき始める。しかしいくら暴れようとしたところで、彼よりも体格の大きい自分に上から組み敷かれ、押さえ付けられながら急所を探られているのだ、勝ち目がある訳が無い。
「ひぃっ! あぁぁぁぁ!」
 ぴゅるっ、と触れられてもいないレイヴスのペニスから快楽の証が迸(ほとばし)る。それは、最初にアーデンに抱かれた頃から変化した点があった。
「すっかり精子が薄くなっちゃったねぇ」
「んう! ……ッ! んん……!」
 余韻に喘ぐ彼に自分の言葉は届かない。アーデンは目を細める。レイヴスの体は徐々にΩとして成長している。その為だろう、それまでは「孕ませる側」としてアーデンと同じく精子を射精していたが、最近は白濁が薄くなっていた。男性であることには変わりないので完全な種無しとはならないにせよ、体が「孕む側」へと変化している。それはΩ男性であれば至極普通のことだった。
「……さて、レイヴスくん。折角気持ちよくイったとこ悪いんだけどさぁ、何か忘れてない?」
「……っあ……」
 アーデンはにんまりと笑った。
「イく時はちゃんと教えてって言ったよね?」
「あ……」
 咎められ、レイヴスの快楽に蕩けていた表情が一気に慌てたものとなった。
 アーデンは普段、驚く程に優しく甘い。しかしそれはセックスの時には当てはまらなかった。言いつけられた事を守れないとひどく苛められる。決して暴力的になるとか、力尽くで犯すとかそういうことはしないのだが、ねちっこいと言うか執拗と言うか、とにかく快楽で責めて責めて責め抜かれる。気が遠くなるような恥ずかしい事や卑猥な事を強いられたり、過ぎる快楽に苦しいと泣きじゃくっても許してもらえず、一晩中泣き続ける羽目になることもある。
「良い子にできなかったんだもん。……お仕置きね」
「ひ……、ごめんなさい! ごめんなさいぃ!」
 レイヴスは逃げ出そうとベッドをずり上がって逃げる。しかしアーデンが逃がすわけなく、足首を掴まれて引きずられ、元のようにしっかり組み敷かれてしまった。
「はい、じゃあしっかり躾けてあげようねぇ。……これ、なーんだ?」
 アーデンは怯えるレイヴスの顔の前に、先程チェストからこっそり取り出した物を突き付けた。
レイヴスにとって、それは初めて見る物だった。ピンク色の楕円形をしたものにコードが繋がっていて、更にそこに小さな四角いものがついている。
想像もつかず、きょとんと首を傾げた。
「あー、テネブラエにはこういう物無かったか~。でもさぁ、一度くらい見たこと無い? 前の世界で下級兵士とかがこういうの使ってるDVD見てなかった……?」
 アーデンの言葉に、レイヴスの顔がみるみる青ざめる。アーデンが言うのと全く同じシチュエーションに遭遇したことがあったのを思い出したのだ。
 何の気無しにちょっと立ち寄った要塞の仮眠室で、兵士が数名でそれを見ていたことがあった。
『そういうものは、私室でこっそりと見ろ』

 あまりに露骨なそれにレイヴスは一瞬面食らった後、それだけ言い残し仮眠室を出た。
 堅物そのものである将軍に現場に踏み込まれた兵士たちは固まっていた。最後にかろうじて、申し訳ございません! と大きな声を出しただけで、後はバツが悪そうに眼を伏せていた。
 そう、それは卑猥な道具だった。破廉恥な遊びに使う機械仕掛けの淫具。
「なんでそんなものがここにあるんだ!」
「え~何言ってんの? 君がこれお尻の穴に呑み込むんだよ」
「嫌だぁぁ! やだ! 止めろぉ!」
 半ば半狂乱で喚くレイヴスを易々と抑え込んで、アーデンはそのピンクの物にローションとたっぷりとつけた。
「これローターって言うんだけど、さ」
「ヒッ」
 アーデンが小さい四角い部分を弄ると、それが突然大きな羽音のようなモーター音を響かせ始める。
「こうやって震えて、膣とかアナルとかを刺激するんだよ。あぁ、乳首の先っぽとか、おちんちんに当てても気持ちいいだろうね」
 言いながら、アーデンは言葉通りレイヴスの乳首の先にローターを押し当てた。
「ひあぁぁぁぁぁ!」
「こら、そんな暴れる程じゃないでしょうが」
 最初はつんと先をつつくようにされた。それだけでも腰にクる刺激なのに、アーデンはそれをぎゅうっと乳輪全体に押し付けて来たのだ。乳首を押し潰しながらローターが激しく震える。
「やだぁぁ! んうぅ――ッ!」
 レイヴスは歯を食いしばって刺激に耐える。そうやって体に力を入れていないと、刺激がダイレクトに股間に集まってしまい、すぐにでも射精してしまいそうだった。
「あー、これ気持ちいいんだねぇ。分かる? おちんちん俺の腰に押し付けて腰振っちゃって、エッチだねぇ」
「やだ! もうやめろ! 止めてくれぇッ!」
必死の訴えが聞き届けられたのだろうか、胸からローターを離され、レイヴスはほっと息を吐いた。
しかし安心したのは間違いだった。
「乳首が嫌ならおちんちんが良いかな?」
「ひあぁぁぁぁ!」
 アーデンはそれを、今度はレイヴスのペニスの先に押し付けてきたのだった。
「やだっ……ッあ! ひうっ……あ、あぅん……」
 乳首を責められ半勃ちだったそこは、ぷるんっと完全に勃ちあがった。ピンクに色付きひくひく震える鈴口や亀頭のくびれなど、敏感な部分ばかりをなぞられる刺激にレイヴスの背がしなる。裏筋を行ったり来たりされた時には息が詰まったかのような声を漏らした。
「なんで嫌なの? すっごく気持ちよさそうなんだけど」
「っふ……あ! 止めろ! よくな……ひぁぁぁ!」
 亀頭部分を、押し当てたローターごと握られおまけに乳首を噛まれた。それはこれだけ反応を返しておきながら気持ちよくないなどと言って、素直にならなったレイヴスへのお仕置きだった。
「ほんとに気持ちよくない? じゃあ選ばせてあげる。このまま今日はおしまいにするか、大人しく言う通りにするか。……こんなにおちんちん腫れちゃって放っておかれたら、辛いだろうねぇ」
 レイヴスは涙に濡れたアーデンを睨み付けた。
 選ばせてあげるなどと言って、この男は結局のところレイヴスに選択肢など与えないのだ。ここまで愛撫されその気になっている体は、射精のみならずアーデンのモノを身の内に受け入れないと治まらない。腹の中を突いて擦って貰えなければ、レイヴスはもう満足できないのだ。
「お前は……ッ! 卑怯だ……!」
「ん?」
 姦計を巡らせながら慈悲に満ちた目で見つめるこの男は、根っからのサド気質なのだろう。
「俺が……、このまま終われないのを、知っているくせに……!」
 男はひどく嬉しそうに笑った。
「そうだねぇ。そういう風に俺が躾けちゃったからねぇ」
「貴様のせいだ……ッ」
 アーデンにとって、それは褒め言葉でしかない。
「君って本当に男を煽るの上手いよねぇ。そうだよ、俺のせい。他の誰でもないこの俺の、ね」
 荒い息をつきながらレイヴスが男を見る。こんな風にこの男に屈服して従わなければならないのは、自分が男を強請ってしまうからだ。自分さえ我慢できればこんなことにならないものを。
「どうするの? 終わりにする?」
「……お前の言うことをきく……」
 選択肢など最初から無いのに、まるで自分で選んだかのように振る舞うことを強いられる。
「良い子」
 アーデンの笑顔が悪魔の微笑みに見えた。
「じゃあレイヴス、四つ這いになってこっちにお尻向けて」
 屈辱的な獣の姿勢で這わされる。男に従えば、あのローターを身の内に受け入れさせられる。
そんな事は分かっていた。しかし男に従い、彼に抱いて貰えるまでこの熱からは解放されない。
 レイヴスは目を閉じ、ベッドに四つ這いになった。
「……ほんと、君は可愛いよ」
 自分に従順に従い快楽を選んだレイヴスに、アーデンは気持ちが昂(たかぶ)るのを抑えきれなかった。
 この子は、自分が躾けるまま、どこまでも可愛く淫らに花開く。
「じゃ、入れるから力抜いてね~」
 たっぷりと蜜を溜めて重く垂れさがる袋に、ぷりぷりと揺れる勃起したペニス。脚を開いて伏せているせいで、アーデンにはレイヴスのそれが後ろから良く見える。
「っあ!」
 つい出来心で悪戯をした。白い臀部を揉み込み、後ろから手を入れてペニスを扱いてやった。
 羞恥に苛まれながらも、直接的な愛撫はレイヴスに快楽を連れてくる。
「ん……あ……」
 けして達することのできない強さでレイヴスの雄を弄んだ後、アーデンはローターにローションを再度かけた。
「力抜いて」
 つぷん、とピンクの卑猥が玩具がレイヴスの蕾にめり込む。
「く……っ」
 つるりとしていてサイズも小さいそれは、殆ど抵抗無く呑み込まれていった。アナルは、最初は小さく口を開け、楕円の径が大きくなるにつれじわじわと口を大きく開ける。そしてまた径が小さくなるにつれ口を窄め、最後は異物を体内に完全に呑み込んだ。
「すっごいエロいよ……蕾からコード出てるの君にも見せてあげたいなぁ。しっぽみたいだ」
「ふざけるな……! ふくッ……!」
 レイヴスが呻いた。四つ這いの姿勢で背後を振り返り大きな声を出したせいで、ローターを締め付けてしまったのだろう。
「ねえちゃんと気持ちいいとこに当たってる?」
「ん……っ、そんな事知らん……っ」
 ふ、はぁ、と漏らす吐息が明らかに快楽に濡れてきている。
「またそういう事言う。気持ちいいくせに。……まぁ良いよ、許してあげる。じゃあご褒美をあげようねぇ。……好きにイッていいからね」
 アーデンが垂れ下がるコントローラーのスイッチを入れた。
途端に、レイヴスの直腸を未知の感覚が襲う。
「あ――――ッ! ひぃぃぃぃ! いやだぁ! なかで……ッ!」
「ん? ぶるぶるして気持ちいい?」
「違う! ちが……ッ、ああああ!」
 玩具に敏感な内部を震わされ、レイヴスはシーツを掻き毟って悶えた。
「どれどれ……、お、これ結構振動強いね」
 アーデンは、ローターを呑み込んだアナルに指を差し込むと、俺の指が痺れそうなどと言いながら内部を掻き回した。
「中、凄い震えちゃってるね。これはちょっと辛いかな?」
「ああッ……! も、もう抜け……!」
「ダメダメ。ん~と、これでいいかな」
「――――ッ⁉」
 びくん、とレイヴスが大きく背をしならせた。
「どう……? これで前立腺に当たったでしょ?」
「ア……、ヒ、ヒアァァァぁぁ!」
 レイヴスは目を見開き叫んだ。
アーデンの指が、震えるローターを指で押して位置を変えてきたのだ。強すぎる刺激に、レイヴスの目の前に星が飛ぶ。
「すごい反応だねぇ、そんなにいい?」
「ちが……、も、抜いてくれ! 抜いてくれぇ!」
 あまりの景色に、アーデンは思わず口笛を吹いた。もう手をついていられなくなったレイヴスはベッドに伏せてしまい、尻だけを掲げている格好だ。脚を開き丸見えのアナルからはローターのコードがプラプラと揺れる。
「ん……、ア……! ひぁ!」
「我慢しないでイッていいんだよ?」
 体をがたがたと震わせ、唇を噛みしめる彼はもうすぐにでも達してしまうはずだ。
 しかし、なぜか彼は射精を耐えているようだった。
「どうした? ……上手くイけない?」
 刺激が強すぎて蜜を飛ばせないのかと、アーデンが様子を探るように彼に背後から覆い被さった時だった。
「ちが……、こ、んな、物で……、イくのは、嫌……だ……」
 アーデンは目を見開いた。
 レイヴスは、背後から伸し掛かる自分を振り返るようにして見つめ、潤んだ瞳で懇願している。
 アーデンが欲しいと言っているのだ。
「……了解」
 アーデンはローターのスイッチを切ってそっと中から抜き取ると、自らの怒張を蕾に押し当てた。

 

「……で、あんな物一体どこから手に入れてきたんだ?」
眉間の皺を特別深くし、レイヴスがアーデンを睨み付けている。声を荒げるでもなく、それでいてとんでもない威圧感を放つアーデンの神凪。冷ややかに見つめてくる視線は触れれば切れるナイフのようだった。
「あれ? なんで怒ってるの~? 昨日よかったでしょ? 君、俺に突かれてあんあん啼きながら、最後はメスイキしてたじゃない」
「その口を閉じろアーデン‼」
 悪びれない男の様子に、我慢できずレイヴスはブチギレた。
「良いか貴様! 次また変なことをしてみろ! 次こそ只じゃおかないからな」
「え~、まだまだ色々あるよ~。バイブだって突っ込みたいし、潮吹きもさせたいし……」
 レイヴスはすっと無表情になると、かつかつと歩いて自室に戻った。突然の行動にアーデンがきょとんとしていると、暫くしてレイヴスは何か大きな荷物を持って出てきた。
「何してるの?」
「もう我慢できん。俺は実家に帰る」
「……させると思ってるの?」
 バチバチと二人の間に火花が散る。
 宰相邸は今日も平和であった。


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